仮想マシンの移行
ライブマイグレーションまたはストレージライブマイグレーションを使用して実行中の仮想マシンを移行し、仮想マシンのダウンタイムなしで仮想マシンの仮想ディスクイメージ(VDI)を移動できます。
ライブマイグレーションとストレージライブマイグレーション
ここでは、ライブマイグレーションとストレージライブマイグレーションの互換性に関する要件および制限事項について説明します。
ライブマイグレーション
ライブマイグレーションは、XenServerのすべてのバージョンで使用できます。これは、共有ストレージ上の仮想マシンディスク(仮想ディスクイメージ:VDI)を、そのストレージを共有するほかのホストに実行したまま移行する機能です。高可用性やローリングプールアップグレード(RPU)などのプール保守機能では、ライブマイグレーションを使用することで、仮想マシンを自動で移動することができます。これらのプール保守機能は、ワークロードの分散、インフラストラクチャの耐障害性、およびサーバーソフトウェアのアップグレード機能を、仮想マシンを停止させることなく提供します。
仮想マシンのライブマイグレーション中、仮想マシンのメモリはネットワークを使用して、データストリームとして2つのホスト間で転送されます。移行ストリーム圧縮機能はこのデータストリームを圧縮することで、低速ネットワークでのメモリ転送を高速化します。この機能はデフォルトでは無効になっていますが、XenCenterまたはxe CLIを使用して有効にすることができます。詳しくは、「プールプロパティの変更」の「高度なオプション」と「プールパラメーター」を参照してください。または、コマンドラインを使用してVMを移行するときに圧縮を有効にすることもできます。詳しくは、「仮想マシンコマンド」のvm-migrate
コマンドを参照してください。
ホスト並行退避機能は、ホストからの仮想マシンの移動をホストのアップデートと前後してではなく並行して行うことにより、ホストの退避時間を短縮します。デフォルトでは、この機能は有効になっており、10個の仮想マシンが並行してバッチで移行されます。バッチサイズのデフォルトは/etc/xapi.conf
ファイルを使って変更できます。
注:
ストレージを共有できるのは同一プールに属するホストのみです。このため、仮想マシンの移行も同一プール内に限られます。
ストレージライブマイグレーション
注:
- Citrix Virtual Desktopsの展開では、ストレージライブマイグレーションを使用しないでください。
- 変更ブロック追跡を有効にした仮想マシンで、ストレージライブマイグレーションを使用することはできません。ストレージライブマイグレーションを実行する前に、変更ブロック追跡を無効にします。
- VDIがGFS2 SR上にある仮想マシンでは、ストレージライブマイグレーションは使用できません。
ストレージライブマイグレーションでは、ストレージを共有していないホスト間でも仮想マシンを移行できます。つまり、ローカルストレージ上で実行中の仮想マシンを、ほかのプール内のホストに移行することもできます。この機能により、以下のことが可能になります:
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仮想マシンをXenServerプール間で再配置する(開発環境から実稼働環境に移行するなど)
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スタンドアロンのXenServerホストを、仮想マシンのダウンタイムなしにアップグレードまたはアップデートする
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XenServerサーバーのハードウェアをアップグレードする
注:
ホスト間で移行される仮想マシンの状態情報は保持されます。この情報には、仮想マシンを識別するための情報のほか、CPUやネットワークなどのパフォーマンス測定値の履歴が含まれます。
セキュリティを向上させるために、XenServerホストの管理インターフェイスでTCPポート80を閉じることができます。ただし、Hotfix XS82ECU1033がインストールされていないCitrix Hypervisor 8.2 CU1プールから、ポート80が閉じられたXenServerプールに仮想マシンを移行することはできません。これを行うには、Citrix Hypervisor 8.2 CU1のプールにXS82ECU1033をインストールするか、XenServerのプールのポート80を一時的に開きます。ポート80を閉じる方法について詳しくは、「ポート80の使用の制限」を参照してください。
互換性に関する要件
ライブマイグレーションまたはストレージライブマイグレーションで仮想マシンを移行する場合、新しい仮想マシンとサーバーは以下の互換性に関する要件を満たしている必要があります。
一般的な要件:
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移行先のホストで、移行元ホストと同等またはそれ以降のバージョンのXenServerが動作している必要があります。
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Windows向けXenServer VM Toolsが、移行するWindows仮想マシンごとにインストールされている必要があります。
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同じプール内にソースの場所がある3台を超える仮想マシンを同時に移行することはできません。
CPUの要件:
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移行元ホストと移行先ホストでCPUが異なる場合、移行元ホストのCPU機能を移行先ホストが可能な限りサポートしている必要があります。通常、これはターゲットに同じ、またはより新しいCPUが搭載されていることを意味します。
- 同じプール内で移行する場合、プールは自動的に仮想マシンの互換性を確保しようとします。
- プール間で移行する場合は、仮想マシンが移行先プールの機能セットと互換性があることを確認する必要があります。
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AMDプロセッサとIntelプロセッサ間で仮想マシンをライブマイグレーションすることはできません。
メモリの要件:
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移行先のホストで、動的メモリ制御機能が有効な場合も含め、十分な空きメモリ領域が必要です。十分なメモリを割り当てられない場合、移行処理が完了しません。
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ストレージの移行のみ:移行された停止した仮想マシンを実行するには、ソースプール内のホストに十分な予備のメモリ容量が必要です。この要件により、移行プロセス中にシャットダウンした仮想マシンをいつでも開始できます。
ディスクスペースの要件:
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ストレージライブマイグレーションのみ:移行先のホストに十分な空きディスク領域が必要です。必要な空き領域は、VDIのサイズの3倍です(スナップショットなし)。十分な領域がない場合、移行処理は完了しません。
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移行中に仮想マシンのVDIの一時スナップショットを作成するために、ソースストレージには十分な空きディスク領域が必要です。十分な領域がない場合、移行処理は完了しません。必要な空き領域は、仮想マシンのディスクのサイズの最大2倍になります。
制限事項
ライブマイグレーションおよびストレージライブマイグレーションには、以下の制限事項があります:
- ストレージライブマイグレーションは、Machine CreationServicesによって作成されたVMでは使用できません。
- PCIパススルーデバイスを使用するVMは移行できません(NVIDIA SR-IOV GPUが割り当てられているVMは除く)。詳しくは、「SR-IOV対応NICの使用」を参照してください。
- vUSBが接続されているVMは移行できません。
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no-migrate
パラメーターが設定されているVMは移行できません。 - 変更ブロック追跡を有効にした仮想マシンの移行にストレージライブマイグレーションを使用することはできません。ストレージライブマイグレーションを実行する前に、変更ブロック追跡を無効にします。詳しくは、「変更ブロック追跡」を参照してください。
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on-boot
オプションがreset
に設定されている仮想マシンは移行できません。詳しくは、「IntelliCache」を参照してください。 - 高可用性機能を使用しており、移行中の仮想マシンが保護済みとしてマークされている場合、ライブマイグレーション中に操作によって高可用性制約が満たされなくなると、警告が表示されることがあります。
- 移行中は、仮想マシンのパフォーマンスは低下します。
- 仮想マシン移行の完了までの時間は、仮想マシンのメモリフットプリントとそのアクティビティによって異なります。さらに、VDIのサイズとVDIのストレージアクティビティは、ストレージライブマイグレーションで移行される仮想マシンに影響する可能性があります。vGPUが接続されている仮想マシンは、仮想マシンの一時停止中にvGPU全体の状態を移行します。特に大量のメモリを搭載したvGPUでは、ダウンタイムを削減するために、管理ネットワーク上で高速ネットワークカードを使用することをお勧めします。
- ネットワークエラーなどでライブマイグレーションが失敗した場合、ソースホスト上の仮想マシンは直ちに停止状態になる恐れがあります。
XenCenterを使用した仮想マシンの移行
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リソースペインで仮想マシンを選択して、次のいずれかを行います。
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ライブマイグレーションまたはストレージライブマイグレーションを使用して実行中または一時停止中の仮想マシンを移行するには、[VM] メニューから、[移行先サーバー]、[VMの移行ウィザード] の順に選択します。このアクションにより、[VMの移行] ウィザードが開きます。
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停止した仮想マシンを移動するには:[VM]メニューで、VMの移動を選択します。この操作により、VMの移動ウィザードが開きます。
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[移行先] 一覧から、スタンドアロンサーバーまたはプールを選択します。
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[ホームサーバー] 一覧から仮想マシンのホームサーバーを選択して、[次へ] をクリックします。
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[ストレージ]タブで仮想マシンの仮想ディスクを配置するストレージリポジトリを選択して、[次へ]をクリックします。
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[すべての仮想ディスクを同一SR上に移行する]オプションがデフォルトで選択され、移行先プールのデフォルトの共有ストレージリポジトリが表示されます。
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[仮想ディスクの移行先SRを指定する] をクリックして、[ストレージリポジトリ] 一覧でストレージリポジトリを選択します。このオプションにより、移行した仮想マシンの仮想ディスクごとに異なるストレージリポジトリを選択できます。
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[ストレージネットワーク] 一覧で、仮想マシンの仮想ディスクのライブマイグレーションで使用される移行先プールのネットワークを選択します。[次へ] をクリックします。
注:
パフォーマンス上の理由から、管理ネットワークをライブマイグレーションで使用しないことをお勧めします。
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選択した内容を確認し、[完了]をクリックして移行を実行します。
7.1 CU2から8.2 CU1にアップグレードする場合は、仮想マシンの移行後にすべての仮想マシンをシャットダウンして起動し、新しい仮想化機能が確実に反映されるようにする必要があります。
ライブVDIマイグレーション
ストレージXenMotionのライブVDIマイグレーション機能を使用すると、仮想マシンの仮想ディスクイメージ(VDI)を仮想マシンを停止せずに再配置できます。これにより、管理者は以下のタスクを実行できます:
- 安価なローカルストレージに格納されている仮想マシンを、高速で耐障害性の高いストレージアレイに移動する。
- 仮想マシンを開発環境から実稼働環境に移動する。
- ストレージ容量による制限がある場合に、仮想マシンをストレージ階層間で移動する。
- ストレージアレイをアップグレードする。
制限事項
ライブVDIマイグレーションには、以下の制限事項があります。
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Citrix Virtual Desktopsの展開では、ストレージライブマイグレーションを使用しないでください。
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IPv6ベースのLinux仮想マシンでは、Linuxカーネル3.0以降が必要です。
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vGPUを持つ仮想マシンでライブVDIマイグレーションを実行すると、vGPUライブマイグレーションが使用されます。仮想GPUインスタンスのコピーを作成するには、ホストにそのための十分な領域が必要です。物理GPUがすべて使用されている場合、VDIが移行できない場合があります。
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同じホストに残っている仮想マシンに対してVDIライブマイグレーションを実行すると、その仮想マシンでは一時的に2倍の量のRAMが必要になります。
仮想ディスクを移動するには
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リソースペインで、仮想ディスクが格納されているストレージリポジトリを選択して[ストレージ]タブをクリックします。
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[仮想ディスク]の一覧で、移動する仮想ディスクを選択して[移動]をクリックします。
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[仮想ディスクの移動]ダイアログボックスで、移動先のストレージリポジトリを選択します。
注:
一覧には、各ストレージリポジトリの空き容量が表示されます。移動先のストレージリポジトリ上に十分なディスク容量があることを確認してください。
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[移動]をクリックして仮想ディスクを移動します。